うさぎの尿路結石とカルシウム予防|食事で気をつけること
うさぎの尿路結石はカルシウム代謝の特殊性が関係します。原因の仕組みと、牧草中心の食事や水分管理による予防のポイントを具体的な数値とともに解説します。

野生のアナウサギは牧草や野草を1日中食べ歩き、水分も多い植物からこまめに摂取しながら暮らしています。一方、家うさぎはケージの中で決まった時間にペレットや牧草を与えられ、運動量も水分摂取量も野生に比べて少なくなりがちです。うさぎはもともと余分なカルシウムを尿にそのまま排泄するという、他の動物とは違うカルシウム代謝を持っているため、食事の内容や水分量が偏ると尿路に結石ができやすくなります。だからこそ、飼い主さんが日々の食事とお世話で調整してあげる必要があります。
うさぎの尿路結石とはどんな病気か
うさぎの尿路結石とは、腎臓や膀胱、尿道にカルシウムを主成分とする結晶や石ができ、排尿の異常や痛みを引き起こす病気です。うさぎは体内に吸収したカルシウムの大部分を腸ではなく尿から排泄する珍しい代謝の仕組みを持っており、尿中のカルシウム濃度が高くなりやすい体質です。通常は砂状の沈殿物(尿沈渣)として排泄されますが、水分不足や運動不足、食事内容の偏りが重なると、これが固まって結石になることがあります。膀胱にたまる「膀胱結石」、腎臓にできる「腎結石」、尿道に詰まる「尿道結石」のいずれになるかで症状の重さも変わります。
なぜうさぎはカルシウム結石ができやすいのか
うさぎが結石を起こしやすいのは、腸でのカルシウム吸収を調整する仕組みが他の哺乳類より弱く、摂取した分がそのまま血中に入り、余った分が尿として排出されるためです。犬や猫、人間は腸で必要な分だけを吸収し、余分はほとんど便から排泄しますが、うさぎは食べたカルシウムの多くを吸収してしまい、血中濃度が上がった分を腎臓でろ過して尿に出す仕組みになっています。そのため、カルシウム含有量の多い牧草やおやつを継続的に与えていたり、水分摂取量が少なくて尿が濃縮されていたりすると、尿中のカルシウム濃度がさらに上がり、結晶化しやすくなります。加齢や運動不足で膀胱にしっかり尿をためて出し切る力が弱まることも、沈殿物が固まる一因になります。
結石を疑うサイン
結石を疑うべき代表的なサインは、トイレで踏ん張っても尿が出ない、少量ずつ何度もトイレに行く、尿に血が混じる、お腹を触ると痛がる、といった様子です。普段より食欲が落ちる、じっとして動かない、歯ぎしりのような音を立てるといった変化も痛みのサインであることがあります。これらの症状は膀胱炎や膀胱に砂状の沈殿物がたまっている状態でも見られるため、見た目だけで結石と自己判断せず、早めに動物病院でレントゲンや超音波検査を受けることが大切です。普段の尿の色や回数を知っておくと変化に気づきやすくなります。うさぎのおしっこの回数・量の目安は?正常とNGサインの見分け方やうさぎの尿が赤い・白い原因とは?色の変化で分かる健康チェックも日頃のチェックの参考にしてください。
食事で気をつけるカルシウム量の目安
尿路結石の予防でまず見直したいのは、牧草とペレットの種類、そしてカルシウムを多く含むおやつの与えすぎです。基本の牧草は、カルシウム含有量が比較的低いチモシーなどのイネ科牧草を主食にするのが安心です。アルファルファはマメ科でカルシウムやたんぱく質が多く、成長期の子うさぎには向きますが、成うさぎが主食として食べ続けると摂取量が過剰になりやすい牧草です。
| 食材の種類 | カルシウム含有量の目安 | 成うさぎへの与え方 |
|---|---|---|
| チモシー(イネ科牧草) | 低め(乾物中0.3〜0.5%程度) | 主食として食べ放題でよい |
| アルファルファ(マメ科牧草) | 高め(乾物中1.0%以上) | 主食にせず、少量のおやつ程度に |
| 小松菜・パセリなどの葉物野菜 | やや高め | 毎日ではなく数日おきに少量 |
| チモシー主体のペレット | 商品ごとに0.6〜1.0%前後 | 体重の1.5〜2%程度を目安に |
体重1.5kgの成うさぎなら、ペレットの目安量は1日22〜30g程度、大さじ2杯強が一つの基準です。カルシウムが気になるからといって牧草自体を減らすのは、腸の動きや歯の摩耗に別の悪影響が出るため避けてください。あくまで「主食はチモシー中心」「カルシウムの多い葉物やアルファルファは量を絞る」というバランスの調整が基本です。サプリメントでカルシウムを追加で与える必要は通常なく、うさぎにサプリメントは必要か?選び方と与え方の基本も参考にしながら、まずは牧草とペレットの見直しから始めるのがおすすめです。
水分摂取を増やす工夫
結石予防でもう一つ重要なのが、尿を薄めて濃縮を防ぐための水分摂取量の確保です。水をあまり飲まない子には、牧草を湿らせる、水分の多い野菜を少量取り入れる、給水方法をボトルから器(お皿)に変えてみるといった工夫が効果的な場合があります。ボトルは飲んだ量が分かりにくく、飲みにくさから摂取量が減っていることもあるため、うさぎの給水はボトルとお皿どっちがいい?選び方を解説を参考に、その子が飲みやすい方法を探してみてください。新鮮な水を1日1〜2回交換し、常に飲める状態を保つことも基本です。
運動不足を解消する
運動不足は膀胱にたまった尿をしっかり出し切る力を弱め、沈殿物が固まりやすい状態を作るため、ケージ内だけでなく毎日決まった時間の運動を確保することが予防につながります。ケージから出して部屋んぽをする時間を作り、こまめにトイレに行かせる環境を整えましょう。肥満気味のうさぎは動きが鈍くなりがちなので、うさぎの肥満対策|安全なダイエットと減量方法を解説を参考に体重管理も合わせて行うと効果的です。
動物病院での検査とその後のケア
結石が疑われる場合は、レントゲンや超音波検査、尿検査で結石の有無や大きさ、位置を確認してもらうことが第一歩です。結石の種類や大きさによって、食事療法での経過観察、内科的な管理、外科的な摘出手術など対応が異なります。手術が必要と判断された場合は麻酔のリスクについても事前に説明を受けておくと安心です。詳しくはうさぎの手術と麻酔リスク|術前検査で何がわかるかも参考にしてください。一度結石ができた子は再発しやすい傾向があるため、退院後も食事内容や水分量の管理を継続し、定期的な健康診断で尿の状態を確認してもらうことが大切です。
よくある質問
Q. うさぎの尿路結石はカルシウムを完全に断てば防げますか? A. カルシウムを完全に断つことは骨や歯の健康に必要な栄養を欠くことになり、おすすめできません。主食のチモシー牧草を中心に、カルシウムの多い葉物やアルファルファの量を控えめにするバランス調整が基本です。
Q. 尿に白い砂のようなものが混じるのは結石のサインですか? A. うさぎの尿には本来カルシウムの沈殿物が混じることがあり、白く濁っていても正常な範囲のことが多いです。ただし量が急に増えた、尿の出が悪い、血が混じるといった変化があれば動物病院に相談してください。
Q. ペレットを完全にやめれば予防になりますか? A. ペレットを完全にやめる必要はなく、カルシウム含有量の低いチモシー主体のペレットを適量与える方が現実的な予防策です。極端な食事制限はかえって栄養バランスを崩す可能性があります。
Q. 結石の手術をしたら再発しませんか? A. 手術で結石を取り除いても、食事内容や水分量が改善されなければ再発することがあります。退院後も牧草中心の食事、水分摂取、運動量を継続的に見直すことが再発予防につながります。
参考文献
- MSD獣医マニュアル「Noninfectious Diseases of Rabbits」— 結石を含む非感染性疾患の一般的な情報の根拠 https://www.msdvetmanual.com/exotic-and-laboratory-animals/rabbits/noninfectious-diseases-of-rabbits
- MSD獣医マニュアル「Management of Rabbits」— 食事管理・成長段階に応じた栄養バランスの根拠 https://www.msdvetmanual.com/exotic-and-laboratory-animals/rabbits/management-of-rabbits
- MSD獣医マニュアル「Routine Health Care of Rabbits」— 日常のケアや健康診断の頻度に関する根拠 https://www.msdvetmanual.com/all-other-pets/rabbits/routine-health-care-of-rabbits
体調が気になる症状がある場合は、自己判断せずかかりつけの動物病院にご相談ください。
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